ホルモン療法の副作用としてのホットフラッシュ
「場所と時間を選ばず、急に汗が噴き出して一人だけ汗を拭きながら仕事をしていてはずかしい」「眠っている時も急なほてりと汗で目覚めてしまって辛い」
これはホルモン療法薬の副作用のひとつであるホットフラッシュと呼ばれる「のぼせ」「ほてり」「発汗」に伴う日常生活上のお悩みの声です。
乳がんには、エストロゲン(女性ホルモン)を栄養として増殖するものがあり、全体の6割から7割を占めています。ホルモン療法は、体内のエストロゲンの量を減らしたり、がん細胞がエストロゲンを取り込むのを邪魔したりすることで、がんの増殖を抑えます。ホットフラッシュは、更年期の症状としてよく知られていますが、血液中のエストロゲンが少なくなると、体温調節がうまくできなくなるために、このような症状が起こると考えられています。また日常生活の中で突然症状が出現するため、いつ出現するのか予測がつかないゆえの不安感も伴います。そして家族や周囲の人にはなかなか理解してもらえず、精神的な負担を抱えることもあります。ホットフラッシュは軽いものも含めると50%以上の患者さんに出現する症状です。通常、飲み始めて数か月ほどで軽快していきますが、症状が強い時や長く続く時には、日常生活上の工夫の説明、漢方の処方なども検討できます。医療者にお話し頂くと心だけでも軽くなることがあります。おひとりで抱えたりせずにぜひご相談ください。
看護師 永井都穂美