マンモグラフィ検査は胸部エックス線写真などと同じく、エックス線を使った検査です。
乳房内をくまなく映し出すことで、触診では判らない小さな石灰化などの描出に優れ、早期の癌を発見することができます。
撮影には、乳房に適した低エネルギーのエックス線が出る専用装置を使用します。様々に個人差のある乳房を観察しやすくするために、乳房を圧迫し、平たい状態にして写真を撮ります。こうすることで内部のしこりや石灰化と乳腺の違いが際立ち、さらに体動によって画像がボケるのを防ぐことができます。また乳房を薄くすることでエックス線量が抑えられ、不要な被爆がなくなります。一回の検査で受ける放射線は、被曝の影響が無視できるほど少量です。
圧迫には少なからず痛みが伴いますが、撮影中リラックスすることにより緩和される場合もあります。また、乳腺の柔らかい時期に受診されるのもお勧めです。
当院では精度管理中央委員会の認定資格を持つ、女性の診療放射線技師が検査を担当し、質の高い画像を提供するとともに、患者さんの苦痛を出来るだけ減らすよう努めています。
また、平成22年に東芝社製デジタルマンモグラフィ装置を導入いたしました。最新式の装置で被爆を最低限に抑えるとともに、圧迫時間を大幅に短縮して、より女性にやさしい検査を実現しました。
現在多くの検診は視診・触診にマンモグラフィ併用が標準となっていますが、当院では乳腺超音波も取り入れております。乳腺超音波検査の利点は次の通りです。
マンモグラフィは乳房を機械で挟んで、上下・左右の2方向からX線撮影します。この場合、乳房をかなり薄くまで挟み込むため、多少痛みが生じることがあります。一方乳腺超音波検査の場合、肌にやさしいゼリー状の液体を乳房に塗って、表面を撫でるように検査する為、検査中の痛みはありません。
超音波検査は高い音を用いて見ていく検査なので、放射線のような被爆の心配がまったくなく、そのため繰り返し検査を行うことや、妊娠中の方でも安心して検査をお受け頂くことが可能であり、体に優しい検査方法であるといえます。
乳がんの好発年齢である40歳代は、母乳を作る部分いわゆる乳腺の密度が濃く、マンモグラフィでは病変の描出が困難なことがあります。一方、超音波検査は乳腺組織の濃度に影響されることがないので、どの様な乳腺構造の方でもほとんど影響されることなく検査が可能です。
当院では人の手によって認識することのできない病変、いわゆる非触知性病変などを認めた場合、超音波によって乳房内部をリアルタイムに確認しながら細胞や組織を採取する、いわゆる超音波ガイド下穿刺吸引細胞診の検査を超音波検査室で行っています。この検査の利点は針先を常に画面上で確認しながら行うことができるので、確実に病変を捉えることが可能であり、なおかつ安全な検査です。
超音波検査の利点は上記のように、身体にやさしく、またどの年代に於いても多くの所見が得られる優れた検査方法であるといえます。但し、この検査は使用する装置の性能や検査者の力量が大きく影響するといわれております。このため当院の検査スタッフは早くから日本超音波医学会認定の体表臓器超音波検査士を取得し、超音波検査に習熟した臨床検査技師3名が専任で超音波検査を担当しております。また使用している超音波診断装置には最新のアロカ社製α-10とF-75を使用しており、患者様に多くの画像情報の提供が可能となっております。
このような日頃の業績が認められ平成22年10月に、超音波検査に関わる医師や医療従事者が議論する場である第25回 日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)を技師としては全国で初めて大会長を務めさせて頂き、盛会のうちに学会を成功させることが出来ました。