ご挨拶

ご挨拶

札幌ことに乳腺クリニック外観 札幌ことに乳腺クリニック外観

乳がんは今や女性のがんとしては最も多い病気となりました。平成25年現在、年間7万人以上が乳がんとなり、1万人以上の方が亡くなっています。成人女性16人に1人が乳がんになる時代です。

未婚や出産経験のない女性、更に30歳以上での高齢初産等はすべて乳がんの危険因子です。食生活も豊かになり、栄養状態の改善により、早い初潮、遅い閉経、更に寿命も延びました。皮肉な話ですが、これらも乳がんの発生に関係しています。又、閉経後の肥満についても注意が必要です。

現在も乳がん治療の中心は手術ですが、術後の再発を防止するために、抗がん剤治療や放射線治療、更に長期間のホルモン剤の服用等が必要となります。乳がんは、治癒と判定されるまで10年間という長い観察期間が必要です。診断・治療、術後の定期検診等の担当医がその都度異なるシステムでは、患者さんと医師との意思の疎通が不十分となりがちです。その結果、再発後の治療難民といわれる忌わしい現象がしばしば発生してしまいます。医師や看護師と患者さんや家族の方々との信頼の絆が大切です。当院では診断・治療からターミナルケアまで主治医制で対応しており、安心して検査・治療を受けられるよう常に高度な専門医療を提供するよう努めております。

当院は、開院当初から患者さんのプライバシーに配慮し、待合室と診察室の間に中待合室を設け、話し声が待合室にもれることが無いようにしたほか、検査のたびに上着を着脱する手間がかからないよう専用のガウンを用意しております。 検査技師を始めとしたスタッフは、女性が受診しやすいよう女性職員を中心に配置しております。更に、乳がん経験者のボランティアが、相談室で医師や看護師にも相談し難い私的な悩みや将来への不安や治療上の疑問に対応しております。また、沖縄県の乳がん専門クリニックである那覇西クリニックとの職員交換勤務の実施や各種研究会・学会等への積極的な参加、論文発表など、スタッフの資質の向上にも努めています。

長い間、国が認めなかった「乳腺外科」の標榜も平成20年4月に認可となりました。乳房にしこりがあっても何科を受診すれば良いかわからず、手遅れになった悲劇は解消しました。当院が開院以来「乳腺クリニック」の標榜が正式に認可されるまで15年間行政と闘ってきたことは有益だったと思っております。

平成21年11月5日~6日の2日間、札幌で第19回日本乳癌検診学会総会を開催し、私が総会会長を務めさせていただきました。学会に先立ちピンクリボンウィーク in Sapporoの一連の行事として、無料検診やおしゃべりマンモカフェに加え、3日間札幌テレビ塔をピンク色に電飾しました。学会の翌日は共済ホールで市民公開講座を開催し、満員の盛況で大好評でした。

これらの経験を生かし、今後も乳腺専門施設として、より良い医療と情報を提供できるよう心がけてまいります。

浅石 和昭