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2017.4.16 | ミントの会

「ミントの会」開催しました

「ミントの会」開催しました

札幌ことに乳腺クリニック患者会「ミントの会」4月の集いを当院2階ロビーで4月1日開催しました。
2017年度第1回開催となった今回は特別講演に八城亜紀子看護主任による「リンパ浮腫-正しい知識を学ぼう」、池上久恵看護主任が「抗がん剤の副作用-浮腫と体重増加について」、浅石和昭理事長が「乳がん化学療法の最新情報」の3題が行われました。特別講演の後は「グループ懇談会」を開きました。

リンパ外来を担当する八城看護主任は、リンパ浮腫は手術方法の改善に伴い発生頻度は以前より低くなっているものの、乳がんのほか、子宮がんや卵巣がんなど婦人科のがんの手術で、リンパ節郭清を受けた後に発生すると説明。リンパ浮腫の発生頻度はどこのリンパ節を切除したかにより異なり、発症の時期は術後3年以内が多いなど、リンパ節とリンパ浮腫の仕組みを分かりやすく解説しました。
その上で、リンパ浮腫は適切なケアによって生活の質を保つことができると話し、特に初期の対応で改善が得られやすいため、予防や早期発見が大切と述べました。
早期発見は、動かしにくい、腫れぼったい感じがするなどリンパ浮腫の症状を知っておくことと紹介し、早期に受診できるようすること。抗がん剤(ドキタキセル)による副作用では、体重増加によりリンパ浮腫を併発することから体重増加は禁忌と具体的な注意事項を説明しました。
日常生活での注意点は、1.腕を圧迫しない(手術した側の腕を局所的に締め付けるような下着や時計・指輪・ゴムバンドをしない。血圧測定や腕枕を避ける。指圧やマッサージにも注意)、2.腕を酷使しない(家族などに協力してもらい重いものを持たない。家事や仕事であまり無理をしない)、3.長時間じっとしない、腕を下げない(軽いストレッチをしてリンパの流れを促す。テレビを観ている時などは肘を心臓よりも高い位置にする工夫を)、4.手術した側の腕の皮膚を傷つけない(ケガ・虫刺され・ひっかき傷・日焼け・かぶれ・乾燥・脱毛処理などに注意)、5.熱いお風呂、サウナ、岩盤浴はほどほどに、6.体重管理で腫れにくい身体をつくる。このほか、早期発見の方法も具体的に解説しました。

池上看護主任は、はじめに乳がんの薬物療法の目的など分かりやすく紹介。術後薬物療法を行った患者さんから聞き取りした副作用についてまとめ、発表しました。
FEC療法の副作用については便秘、吐き気、口内炎、味覚障害、発熱、手足の湿疹、頭痛、倦怠感、めまいなどがあり、ハーセプチンの副作用では、長期投与で爪障害、心機能の低下など、TC療法の副作用は、2クール目以降に体重増加(浮腫み)があることを詳しく解説。副作用の発現時期やTC療法の体重増加率も示し、患側上肢リンパ浮腫との関係を説明しました。TC療法による浮腫みは副作用の一つですが、初回から味覚障害が発現していることにより、タンパク量の低下や塩分の摂り過ぎなど、浮腫みを助長させているのではないかと述べました。
術後に完治を目的として行う薬物療法ですが、その治療により浮腫みのリスクも伴うのも事実です。患者様にはリンパ浮腫の知識を持っていただき、浮腫を発症することなく治療を終えることができるよう、援助と努力をしていきたい、と今後の取り組み姿勢について語りました。
最後に抗がん剤の副作用や味覚障害で食べることに苦痛を感じている方がたくさんいます。そうした方に、実際に経験した患者さんのアドバスがとても役立っていると述べ、患者会「ミントの会」がとても役立っていること、さらに患者さんからの情報が医療・看護にいきてくることを話し、ミントの会の活動はとても有意義であると結びました。

浅石理事長は癌細胞の発生と生体防禦の仕組みについて分かりやすく解説。生体内に侵入した発癌物質はほとんどは解毒され、一部がDNAに結合するが、癌に関係する200位の遺伝子に、いくつかの変異が同時に発生した時のみ癌化することなど、どのようにして癌が発生するのかを説明しました。
続いて乳癌治療方針の決定方法を紹介。現在の治療では、患者さんの癌組織が治療方針を決め、癌の遺伝子検査をすると抗がん剤が必要ではない患者さんがいることも分かってきたと最近の治療方針の決定方法の移り変わりを解説しました。
種固有の遺伝情報であるゲノム変異についてみると、生殖細胞変異は家族性癌に関与しており、乳がんではBRCA1/2という生まれた時から癌の遺伝子を持っていることが分かり、体細胞変異では遺伝の関与はなく、個別化治療の方針が決まってくるなどについて説明。現在、癌遺伝子診断は現在自費で行われており、Oncotype-DX検査では癌遺伝子が出てくるか出てこないかで、抗がん剤を使うか使わないかの判断をしていること。ゲノムリスクと臨床リスクを検討し、早期乳癌に対する補助化学療法の回避についての調査についても紹介しました。こうしたことから、臨床リスクが高くゲノムリスクも高い人には補助化学療法を実施、両方のリスクともに低い人には補助化学療法を中止。両者の結果が不一致の場合は何れかのリスクに合わせて実施する。その患者さんが抗がん剤を使った方がいい、使わなくてもいいという事が分かるようになってきたと紹介。今後はより効果的な治療選択が可能となるとして、最新の話題を提供しました。