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2018.9.29 | ミントの会

ミントの会開9月の集い催しました

ミントの会開9月の集い催しました
 9月6日に発生した北海道地震に被災された皆様にお見舞い申し上げます。 

 当院患者会「ミントの会」9月の集いを9月15日、開催しました。
 北海道全域が震災の影響で停電になるなどしましたが、患者さんの学習意欲とミントの会への真剣な思いもあり、無事開催することができました。
 今回は特別講演として藤澤純子臨床検査技師による「超音波検査について」、池上久恵看護主任の「抗がん剤治療による脱毛」、浅石和昭理事長の「乳がんの免疫療法」の3題。その後は質疑応答、グループ懇談会を行いました。

 藤澤臨床検査技師は、当院では乳房超音波検査の有用性に着目し、開院当初からマンモグラフィと共に検査の主軸となっていることを紹介。「病変の検索や経過観察、細胞診や針生検、手術の術式は切除範囲の決定、術後の経過観察など、幅広く活用している」と当院の乳房超音波検査の役割について話しました。
 その上で超音波に関する基礎知識、超音波検査の実際、正確な検査のためのポイントを分かりやすく解説しました。大きな特徴として、被ばくや痛みが無く、妊娠期、授乳期でも検査はできること、年齢や乳腺量にほとんど影響されないこと、多少の体動でも問題なく検査できることを挙げ、誰でもが安心して受けられる検査としました。

 池上看護主任は髪の毛の仕組みと抗がん剤の影響について分かりやすく説明。男性ホルモン・女性ホルモンと髪の毛の関係を話し「髪の毛には女性ホルモンが関係。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには髪の毛の成長を促し、髪の毛の成長期間を持続させる働きがある」と解説。抗がん剤との関係については、種類、使用量、治療の組み合わせ、患者さんの状況によって脱毛の症状が出やすいものや出づらいものがあり、抗がん剤を使用したからと言って必ずしも脱毛が起きるわけではないことを紹介しました。また、抗がん剤による脱毛は一時的なものと説明しました。
 髪の毛の仕組みを分かりやすく解説し、毛母細胞が抗がん剤の影響を受けやすいため、脱毛が起きると話しました。こうした医学的な解説とあわせて、日常生活での注意点や対策、治療が終わった後のケア、安心して使える育毛剤、美容室の話題など、治療と暮らしに役立つ話題を提供しました。

 浅石理事長は癌細胞の発生と生体防禦の仕組みをイラストを使用して分かりやすく解説。癌は生命維持に重要な遺伝子に「傷」がつき、傷がついた遺伝子は間違った蛋白質(変異蛋白質)を作り、癌の発生につながることを説明し、免疫細胞として知られるT細胞はこの異変蛋白質を認識して癌細胞を攻撃する仕組みを説明しました。
 乳がんの治療は局所療法と全身療法があり、全身療法の中で今後有力な治療法になるのではないかと注目されているのが免疫療法です。
 加齢により、正常細胞も変異蛋白を作るようになり、危険な自己免疫を避けるため、生命の恒常性維持のために、進化の過程でPD-1(Programmed death-1)を獲得しました。このPD-1は癌細胞に対する有益な免疫応答も一緒に抑制してしまいます。癌はこのPD-1の抑制経路を巧みに利用してPD-L1(Programmed cell Death ligand 1)を作り、癌を発育させ、増殖を可能となります。PD-L1がPD-1に作用できないように阻害することで癌の増殖を抑制するのが免疫チェックポイント阻害剤です。現在、日本で承認されている免疫チェックポイント阻害剤は3つで、使用が認められている癌は悪性黒色腫、進行がんの肺がん、腎がん、悪性リンパ腫、頭頚部がん、胃がん、膀胱がんです。将来的には乳がん、子宮がんなどへの利用が期待されています。浅石理事長、三神俊彦副院長が副作用についても分かりやすく説明しました。